つくづく思うこと。

自分のひそかな夢として、

1、ヌッツォが日本でオペラに出演すること。(そして出来れば見に行きたい。)
2、ヌッツォのサイン会に並んでサインをもらうこと。
3、ウィーンでヌッツォの歌を聴くこと。(なぜにウィーン?)

と言うのがあります。
一番達成出来そうなのが、2番だと思うんですが、実は未だにサイン会に並んだことがないのです。
死ぬ前に1度でいいから並んでみたいです。

「サイン会」自体、実は今現在、1回しか並んだことがないんですが、
その時の思い出をちょっと書きたいと思います。

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昔、ロシアのバリトン歌手のディミトリー・アレクサンドロヴィチ・ホロストフスキーさんの
コンサートに行きました。

その頃はMETが日本にちょうど来日していて、オペララッシュやっていて、
ホロストフスキー(以下、Dima)さんもそんな怒涛のスケジュールの中、
コンサートを開いてくれて。

コンサートは、METのオペラが全部終わったのもあるのか、
月曜日の夜7時からだったとか、雨が降っていたとか、
プログラムにあった曲のラインナップが一般受けしない
(独特の哲学をお持ちのようでロシア民謡とか宗教曲が大半でした。)せいもあってか、
サントリーホールがガラガラだったのが寂しかったですね。


とは言いつつも、ホールに入って度肝を抜いたのが客層。

99.8パーセントくらい女性な気がしました。
特に前列の最前〜10列目くらいまではかなり熱狂的なDimaさんのファンだろうと思われる
女性達がいました。
(あとで知ったんですが、あそこはファンクラブ専用の特別シートだったそうな。)

そんなわけで、公演開始まであと5分くらいあったんで、
持ってきた双眼鏡で会場に自分と同じ
仕事帰りのサラリーマンが何人いるか探しました。


それから、自分の席が2階の端っこだったので、角度的にDimaさんの後姿しか
見れなくて、
双眼鏡でずっとDimaさんの旋毛ばっかり見ていたのも
今となっては良い思い出です。


コンサートの感想は、
少ない客の中でもんのすごい盛り上げっぷりを見せてくれたDimaさんに脱帽です。
歌はもんのすごい上手いし、終始笑顔だし、サービス精神旺盛だし。

アンコールは5回もやってくれて、
最初にヴェルディの「オテロ」のアリア歌ってくれたんですけど、
最後の溜めがですね、う〜ん、ありゃスゴイです。そしてそのあとの笑い声。

グワッハハハ!ハハハーッ!って、
あんまりにも笑いすぎるから、「オテロ」知らない人が見たら
この人、大丈夫?ビックリするでしょうね。

いやー、良いものを見せてもらいました。

終演後にロビーに行くとアルバムが売っていたので買いました。
そしたら店員さんにサイン会に並べると聞いたので軽い気持ちで並びました。

…軽い気持ちで並ぶんじゃなかった…。


サイン会は地下の楽屋出口前で行われていたんですが、
自分が並んだ時はすでに並んでいる人が地上にたくさんいたんですねー。

並んでる人は、女の人ばっかりで。

頭が真っ白。

途中で並ぶのやめようと思ったんですが、滅多にない機会だしと言うわけで、
頑張って並びました。
しばらくして遠くから女の人たちの悲鳴が聞こえたので多分Dimaさんが出てきたんだなと思いました。

それから待つこと1時間ちょい。


やっとDimaさんが見えてきたとこでふと大変なことに気づきました。

「あ、何を話せばいいんだ?」(ぇぇぇ)

1時間もボーっと何をしていたんでしょう…。

とりあえず「コンサートの感想を話そう」と思い、色々考えようとした時に、
とうとう自分の前は1人だけに。

ヤバイ、時間がないぞ。

焦る自分にさらに追い討ちをかけるような事が次の瞬間ありました。


さらに頭が真っ白。



しまった!Dimaさんはロシア人アルヨっ!!!(今頃気づく…)


やっぱりロシア語だと会話が弾むみたいで、その女性もDimaさんも
楽しそうにお話されていました。
しかし悲しいかな、自分には何を喋っているかサッパリでした…。


ロシア語は知らないし、英語もてんでダメな自分。

そもそも未だに日本語すら満足に使いこなせていないのに。

もうダメだ!!!
こうなったらこの身は露と消えても(By「新選組!メインテーマ」)だ!、

腹をくくって日本の大和魂を見せてやるっ!チェストー。


玉砕覚悟。



…、

まぁ、その、あれですよね、人生上手くいきません。






思いは伝わらない。

                       *右端にいるのは一応Dimaさん(のつもり)です。




そんなわけで、僕の忘れはせぬ熱き思いはまったく伝わらなかったわけですが、
横にいた男の人が通訳さんだったらしくて、「ちゃんと訳すので安心してください」って言ってくれたのですが、
「今頃遅いよっ!」と心の中で突っ込んでいました。

頭の中が真っ白になり、言葉が出てこない。

よく、ファンの人が憧れの人を前にしてキャーキャー言いながらパニック
起こしますけど、自分の場合はそんな可愛いものではなくて、
別の意味でもう頭の中がパニック起こしてました。

もう、何を言ったか覚えていませんが、ちゃんと通訳さんが伝えてくれて、
それを聴いたDimaさんは「スパスィー○×△■」と言ってくれたんですが、
自分には何を言ってくれたのかもう覚えていませんでした。(ちゃんと訳してもらったのに…。)



帰りの電車の中で、しみじみと




ヌッツォが日本語の解る御方で良かったと思いました。





とは言いつつ、ヌッツォのサイン会はちゃんと待っている間にカンペを作っておこうと
思いました。なんだか別の意味で頭が真っ白になりそうです。。。