レクチャーコンサート 〜音楽に秘めた愛〜

プログラム

C.グノー:歌劇「ロミオとジュリエット」から

第1幕マドリガル「あこがれの天使よ」(ジョン・健・ヌッツォ、幸田浩子)
第2幕カヴァティーナ「恋よ、恋よ!」(ジョン・健・ヌッツォ)
第2幕二重唱「おお、すばらしい夜よ!」(ジョン・健・ヌッツォ、幸田浩子)


休憩

L.バーンスタイン:ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」から

“SOMETHING'S COMING”(ジョン・健・ヌッツォ)
“Tonight”(ジョン・健・ヌッツォ、幸田浩子)
“Maria”(ジョン・健・ヌッツォ)

アンコール
乾杯の歌(ジョン・健・ヌッツォ、幸田浩子)
誰も寝てはならぬ(ジョン・健・ヌッツォ)

改札を抜けるとそこは東京文化会館であった。

と、川端康成の「雪国」ではありませんが、
行って来ました、レクチャーコンサート!

今回の席は前から2列目の左側の真ん中の席。
帰りの電車の時間に間に合うか微妙だったので
「もし、コンサートの途中で隣の人に『すみません、通してください』って良いながら帰ったら目立つし失礼だな」と
不安になりながら着席。
中野のミルバさんとのコンサートのときも左側の2列目だったんですけど、
今回の席は小ホールということもあって、本当に近かったです。
会場に入って席を確認した瞬間、
「ぇ、こんなに舞台に近いの?」と驚きました。階段が設置されていたので、
「もしかしてこれを使ってヌッツォ出てくるのかなぁ」と色々考えながらコンサート開演。

時間になってヌッツォが登場。拍手で迎える。
階段は使わずステージの後ろから出てきました。

・・・わかってはいましたけどちょっとでも期待した自分に落ち込みました。(笑)

今回のヌッツォはとても眩しい白いシャツで登場。
いつも黒っぽいスーツしか見たことがなかったので新鮮でした。

ヌッツォ「こんばんわー」

会場:こんばんわー

ヌッツォ「ようこそ、『音楽に秘めた愛』、ロミオ&ジュリエット、そしてウエスト・サイド・ストーリー。
     今日、司会進行そして歌手、全てをやらしていただきますジョン・健・ヌッツォです。
     よろしくお願いします。」


会場:拍手

ここで今日の公演の説明。ちょっと長すぎて拾い切れなかったのですが、
「ウエストサイドストーリーもロミオとジュリエットも大好きで1度、この二つを並べたらどうなるか」と言うことと
「今日は力を抜いて、リラックスして楽しんでいってください」というようなことを話していました。
それから出演者紹介で、

ヌッツォ「今日は僕のジュリエットとマリアを演じてくれる・・・」

とソプラノの幸田浩子さんの紹介。
ヌッツォと幸田さんはお友達だそうです。

それから、

ヌッツォ「そして、支えてくれる素晴らしいピアニスト。甲山紀子さんです。」

甲山さんは初めてヌッツォのコンサートで岩手に行ったときも伴奏をしてたので
久しぶりです。ちょっと岩手のことを思い出して
心の中で「あぁ、あれから長かったなぁ」とちょっと感慨にふけってしまいました。

ヌッツォ「それでは楽しんでください、『ロミオ&ジュリエット』。」

「ロミオとジュリエット」、“あこがれの天使よ”と“恋よ、恋よ!”を2曲続けて歌う。

ヌッツォの「ロミオとジュリエット」を聞くのは初めてだったので
序盤から聞き入ってしまいました。
ソプラノの幸田浩子さんとの重唱も素晴らしかったです。

・・・で、重唱についてですが幸田さんが自分の手前で歌うので
必然的にヌッツォが自分の座ってる席の方角を向きながら歌います。
えっと、なんていうかですね、ヌッツォが幸田さんに向かって歌っている最中にニコニコしながら
「良いよ良いよ〜」って感じで目で訴えてくるんですよ。
それがですね、ヌッツォは片目をつぶって合図(俗に言う「ウィンク」というものですね。)するんですけど、
自分の席の角度からだと何回もバッチリ見えてしまってですね、
上手くいえませんが、嬉しかったです。(どういう意味だ。)

2曲歌い終わって、拍手。それから2人とも用意してあったイスに座って
トークタイム。

ヌッツォ「あらためて、こんばんわ。」

会場:こんばんわー。

ヌッツォ「今のがロミオの最初のところですね。そして、僕が素晴らしいジュリエットに逢って。
     ・・・さすがオペラ。ものの30秒で恋に落ちる。」


会場:(笑)

ここで笑いながらロミオとジュリエットの原作シェイクスピアの話題。
ヌッツォがシェクスピアについて語って(すみません、ここらへん覚えていません)、
ヌッツォが幸田さんへ質問。

ヌッツォ「シェイクスピアは好きですか?」

2人でシェイクスピア対談。(長すぎて拾い切れなかったので省略。)

ヌッツォ「・・・(色々話しながら)いつもオペラをやってて思うのは、テノール、そしてソプラノ。
     色んな恋を、ステージ上で演じる(歌う)ことが出来る。」


幸田さん「そうですねぇ〜〜。テノールは特に。」

ヌッツォ「エッヘッヘ〜」(凄い嬉しそうに笑っていました)。

幸田さん「特にね〜。」

ヌッツォ「特に。」



お友達ということだけあって本当に楽しそうに2人とも喋っていました。


話題はモーツァルトへ。
モーツァルトのオペラを話しながら話題は
ドニゼッティの「愛の妙薬」、モーツァルトの「コシファン」、ヴェルディの「オテロ」等の“愛”を扱ったオペラについて話していきました。

ヌッツォ「(上記のオペラの物語の説明をしながら)それからウィーンであった
     『○○○』(タイトル聞き取れませんでした。)、
      2時間も『愛してる、愛してる、愛してる・・・(エンドレス)』2時間も愛している・・・もういいじゃんっ!」


会場:(大笑)

去年、ウィーンでは2時間ひたすら「愛してる、愛してる、愛してる」と言い続けるオペラがあったそうなんですがどなたかタイトル覚えている方、
もしくは知っている方、申し訳ありません、タイトル教えてください。とっても気になっています

と、相変わらず面白いトークで話は進んでいきます。

ヌッツォ「音楽と愛については、普段の日常では感じない愛を、ステージ上で
     色々感じさせてくれる、そういう意味で、音楽に愛を、、」


ここで自分のメモが飛んでいました。すみません。
ヌッツォは長くとてもいいことを話していました。

ここでヌッツォが突然幸田さんへ、


ヌッツォ「恋、してますか?」


会場:(笑)

来た、変化球トークからいきなり直球が。しかもちょっとヘビーな質問ですよ。

幸田さん「いきなりそこですね(笑)。」

幸田さんは恋について自分の海外での活動や大事な友人や家族の話などをしていました。

それからまたヌッツォのトーク。レクチャーの本題というわけでウエストサイドとロミジュリについて。

「ウエストサイドストーリー」も「ロミオとジュリエット」も最後が悲しい結末というお話。
それからまたモーツァルトのお話。
内容は自分がモーツァルトのツァイーデをプロデュースした時の事。
最初に聞いたときはてっきりMorzart 『His Life, His Operas』のことを
言っているのかなと思っていたのですが、聞いていくと「あれ、ちょっと違うな」
と気づきしばらくして「そうだ、もっと前にイタリアで歌ったオペラのことだ」と気づきました。

ツァイーデはモーツァルトの未完のオペラで、エンディングがないということを説明。

最後を幸せに終わらせるか悲しく終わらすかどうしようかと考えた時に
モーツァルトのその時の気持ちを考えてあえてハッピーエンドで終わらせた
というような事を言っていました。
あまりこの時の内容はちゃんと覚えていないんですが、
ヌッツォはモーツァルト、…というか音楽に対して向き合う姿は本当に真摯に紳士だなと思いました。

こんな自分の拙い文章じゃ本当によく伝わらなくて。すみません…。

と、一通りトークも終わって突然ヌッツォが


ヌッツォ「何かしゃべりたい人どうぞ!」



いきなりの質問コーナー。
急なことで自分の頭の中は真っ白。
一秒という時間の中で
「あぁ〜どうしよう、手を上げようかな?あ。でも何を聞くんだ?」
と、意味もなくパニックに。

しかしここでたった一人の勇者さんが現れました。
(敬意を込めて勇者と呼ばせてください。)

勇者さん「“ツァイーデ”というのは未完のオペラと言うことですが、CDか何かで出ていますか?」

あぁ、なんて素晴らしい質問なんですか!!

ヌッツォ「“ツァイーデ”のCDは…、(ちょっと思い出しながら)つい最近ですね、アーノンクールが
     出したCDがあります。(続けて他にも何か説明していました。)」

勇者さん「ありがとうございます」

ヌッツォ「もう少ししたら僕もCD出そうかなぁー。」

会場:(笑)

>僕もCD出そうかなぁー。
>僕もCD出そうかなぁー。
>僕もCD出そうかなぁー。

マ ジ で す か ! ?
(*「マジ」というのは漢字で「本気」と書くそうです。)

そんなこと言ってしまうと本気で期待する人間がここにいますよ。
期待して待っていますよヌッツォさん。


和やかな雰囲気のまま「ロミオとジュリエット」の『おお、素晴らしい夜よ』を歌って
第一部終了。
ちゃんと8時に2部が始まるように1部を終了させることができる
ヌッツォの司会ってやっぱりスゴイですね。

2部はウエストサイドストーリー。

「SOMETHING'S COMING」のイントロが流れる。
この曲は初めてコンサートに行ったときに1番最初に
生で聞いた歌です。
あの時と同じようにヌッツォは歌いながら登場しました。
ミュージカル曲でレクチャーコンサートということもあって
とってもノリノリに演じて歌っていました。

歌いながらあの、ステージに設置された階段を使って客席に下りてきました。
「えええぇーーーっ、ヌッツォ降りてきちゃったよ!?」とちょっと興奮。
ソフトバンクのCMじゃありませんが、これは予想外デス。


で、ヌッツォは歌いながら自分の席のほうにも来ました。
なんていうかですね、

近い。

近いですよ?

声がビンビン響いていますよ。
目の前にヌッツォが歌っていますよ。
SOMETHING'S COMINGをはじめて聞いたのは去年のコンサートでした。
あの時は「本当にウエストサイドストーリーのトニーになりきっている。」って
レポートで書きました。今日のヌッツォは違いました。


目の前にトニーがいました。


上手くいえないんですけど、以前と何かが違っていました。
元々、声がすごい飛ぶイメージが自分の中にあるんですけど、
ただ、飛ぶって感じじゃなかったんです。
思い返してみたら、洗足は調子悪かったし、ミルバさんの公演はマイクを使って
スピーカーで間接的に声が自分に直撃していたから気づきませんでした。
自分が本当に生のコンサートで聴いたのは岩手以来だったんだと。

頭の中であの日(岩手のコンサート)のことを思い出しました。
あの頃はヌッツォは色々とあって、
自分の中で「せっかく今頃ヌッツォにはまったのにもう日本で歌うのは見れないんじゃないか」って不安でした。
ネットで色々と探して岩手でコンサートがあると知ったとき、
結構本気で悩んで(旅費のこととか、本当に出てくれるのかとか色々と)行くことを決意したこと、
コンサートに出なかったら石割桜を見て帰ってこようと密かに「るるぶ」を買ったこと、(ぇ)

主催の岩手日報さんに連絡して「千葉県人でもチケットって買えますか?」と真面目に問い合わせしたこと、
(今思い返しても「あのときの自分は正気じゃなかった」と思います。(笑))
当日の朝、新幹線の中で爆睡して、慌てて降りたら新幹線に色々と忘れてきてしまったこと、
観光するつもりだったのに、会場探しに半日かかり結局ろくに観光できなかったこと、(あれ、「るるぶ」は?)
そして、ヌッツォがちゃんと皆の前にSOMETHING'S COMINGを歌いながら登場したきたこと。

・・・あの時、ヌッツォが出ていなかったら自分は、ここまでサイトを続けていなかったと思います。

話がそれたので戻します。

そして今、ヌッツォが自分の目の前でまたSOMETHING'S COMINGを歌って、
自分の座っている方を向いて歌ってくれると
ヌッツォの声が体中にビリビリ響いて、「あぁ、こんなに凄い声だったんだ」って思って、
なんでか理由はわからないんですが(多分岩手のことを色々と思い出したからだと思うんですが)、
目から水が出てきました。(ぇぇぇ)


歌い終わってMCタイム。話題はバーンスタイン。

「ウエストサイドストーリー」はバーンスタインがオペラを意識して書いたそうです。

ヌッツォ「“ウエストサイドストーリー”を作っているDVDを見たことある人いますか?」

会場は自分を含めて「?」という反応。

ヌッツォ「ホセ・カレーラスっていう人の。」

ここで会場のいる人の何名かが「ああ!」と思い出した反応。

ヌッツォ「(色々話しながら)あれ、
     よく見ると数字がテイク○○(回数は覚えていませんが途方もない数字を言っていた記憶があります)
     とか、オペラ歌手がなかなかリズムを取れなくて大変で。
     でもバーンスタインは完璧じゃないとダメで。(中略)
      素晴らしいDVDなので是非見てください。」

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*ここでレポートを一時停止します。

「是非見てください」というわけで。

こんら絶対見るっきゃねーっぺや。
(千葉弁で書いてみました。ちなみに翻訳すると「これは絶対見ないといけませんね!」です。)

というわけで後日DVDを二つ隣の町のレンタルショップで借りて見てみました。
驚いたのは、このDVDの内容、なぜか自分が知っていました。
十数年前に昼間に家で見ました。なんでだろう?
ちょうどバーンスタインさんが亡くなったときの特集か何かかなと思い出にふけながら見てました。
当時見た時は「おっちゃんがおっちゃんをいじめている」としか目に映らなかったんですが
今改めてみるとまた違った感想が出てきます。

DVDの感想はここで書くのは場違いですが一言だけ書くなら
バーンスタインさんは指揮棒を持っていないときは絶対タバコを持っているなと思いました。
90分くらいのDVDなのにバーンスタインさんがヘビースモーカーだったと感じてしまうDVDです。
でも実際のバーンスタインさん、ヘビースモーカーだったそうですね。

↓何事もなかったかのようにレポート再開します。
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それからヌッツォは、
自分自身がウィーンでウエストサイドストーリーをドイツ語で歌ったこと、
いつか英語で歌いたいということ、
ウィーンで練習中にNYでテロがあったこと、
そのときに友達が亡くなったこと、
みんなたくさん泣いたこと、

他にも色々話しながら最後に
みんな“愛”を信じて、生きてほしいみたいなことを言っていました。

…どうして自分は一番肝心な話の内容を覚えていられないんだろう。


そして「トゥナイト」。
幸田さんが登場して歌っているを見とれていたら
後ろからヌッツォの声が聞こえてきました。
振り返ったら後ろにヌッツォが。

え、いつの間に!?
さっきまでステージにいたのに!!
いったいどこから出てきたんですか!!!

スゴイ、ヌッツォ瞬間移動したよ、ヌッツォは超能力者かなにか!?
ヌッツォ魔法使いだよ、

ヌッツォはサリーちゃんのパ(馬鹿馬鹿しすぎるので省略)

冷静に考えてみて、きっと自分が幸田さんを見ている間にヌッツォはこっそり
裏の通路を使って、全 速 力 で移動してただけだったと思います。


幸田さんとの2重唱の間にウエストサイドストーリーのちょっとした劇がありました。
ヌッツォが「I LOVE YOU」って、トニーがマリアにむかって自分の名前をいう場面をやっていました。

この時ヌッツォはずっとステージじゃなくて客席のほうにいて間近で見れてとても楽しくて嬉しかったです。
きっとけしてステージが狭くて入りきれなかったというオチではないと思いながら。

「トゥナイト」を二人で歌っているとき、自分は再び目から出てくる水が止まらなくて大変でした。
「SOMETHING'S COMING」を聞いていた時と同じことを考えていたからなんですが。
(トゥナイトも初めて行ったコンサートで歌っていました。)
コンサートでこういうことがあるのはヌッツォに限らず本当にはじめての体験で。
どうやら自分は本当にヌッツォの生の歌声に飢えていたんだなと気づきました。

ちょっぴり本当にヌッツォは魔法使いかもしれないと思ってしまいました。(ぇ)

そして「マリア」。

ヌッツォもこの歌が自分にとっての愛の歌と、娘さんへの愛について話していました。
そういうわけで今日の「マリア」は気合がビンビン伝わってきました。
ヌッツォの歌う「マリア」はウエストサイドストーリーのトニーがマリアへの
熱い感情を歌うと言うよりかは愛する娘への愛情が前面に出ていますね。

それからアンコールで「乾杯の歌」と「誰も寝てはならぬ」を歌ってくれました。

終わってからサイン会に並ぶ長い人の列をちらっと見ながら全速力で終電に間に合わせるために
上野駅まで走って帰りました。

今日のコンサートは歌とトークが良いバランスで自分の中で大満足なコンサートでした!

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