カヴァレリア・ルスティカーナ

今日は3階の端っこからの席。
席を確認すると覚悟はしてましたがとても後ろの席でした。

会場のほうに目をやるとステージにオケがあって、その前に舞台を作っていました。
2階と3階も一部舞台装置になっているみたいで、無理やりと言うかよく
ここまでこの会場で作ったなぁと思いました。
(どう考えてもオペラをやるようなホールではなかったので)

前半はレスピーギ。交響詩「ローマの松」
これはホーネックさんの指揮とオケが素晴らしかったです。
2幕の低音が続くところが難しかったと思うんですが、とても細かく演奏していました。

4幕のドンドンジャッジャジャジャジャッジャーの部分も(これでどこの部分かわかった人、素晴らしいです)
とてもダイナミックで。これぐらいの音量で聞けて嬉しかったです。



休憩をはさんでいよいよ「カヴァレリア・ルスティカーナ」

舞台はイタリアのシチリア。
時は1890年頃の復活祭の朝です。
日本だと「愛しき〜友は何処に〜」の時代から20年くらいたった後の
ころのお話です。

前奏曲から。

ヌッツォはまったく姿を現さなかったんですが、それでも3階までビンビン響く歌で。
姿を見る前から「あぁ、今日はとても絶好調なのですね」と嬉しくなりました。

サントゥッツァは最初から最後まで舞台に登場しっぱなしで、難しい体勢からでも
良く歌っていました。すごい体力です。

アルフィオもトゥリッドウに勝るとも劣らない体格のよさに見えました。なので、
「あぁ、この体格なら、決闘挑んだら返り討ちにあっちゃうよな」と妙に納得しました。(ぇ)


…でもたまにありますよね、
「どう見たってこのアルフィオはトゥリッドゥに負けそうだ」という感じの「カヴァレリア・ルスティカーナ」も。


今回は3階の後ろの方の席だったので、あの大きなヌッツォが豆粒程度にしか見えなかったんですが、
代わりにオケや会場を全体的に見れてとても楽しかったです。
特にトゥリッドゥの足にすがりついたサントゥッツァを突き飛ばす場面。

とてもシリアスな場面で結構派手に突き飛ばしていたんですが、
全体が見れていたので二人のやり取りのすぐ後ろで

「後ろにいる二人がなんだかとても修羅場みたいだ。
だがそんな事はどうでもいいっ!みんな俺の指揮を見ろ!!!」


という感じのオーラを発しているホーネックさんの姿とギュインギュインやっているオケの方々が見れて、
妙に自分のツボに入ったシーンでした。

こういう場面はオケが下にいる普通のオペラではけして見れないのでとても面白かったです。
ただやっぱり、オケが下じゃないためか、ところどころ、歌と曲がぶつかり合ってちょっと
わかり辛い部分もありました。
そんな中でもやっぱりヌッツォの声だけは聞こえたので流石だなと思いました。



最後のトゥリッドゥのアリア、「おふくろ、この酒強すぎ」…じゃなかった、「母さん、この酒は強いね」
(意味は同じなのに、前者だと森進一さん風に感じるのはなぜでしょうか。)
も泣きそうな(泣いている?)歌声で役に合っていたと思います。



あとは舞台、本当はオペラをやるホールじゃないですが、狭いスペースでよくここまで
やったなぁと思いました。
照明も良い具合に雰囲気作りをしていました。
それから字幕。ちょっと訳が自分の中で「ん?」と思ったり、微妙にテンポがズレいるような気がしましたが、
田舎を舞台にしているのでありかなと思いました。


終わった後にカーテンコールも何回かやって。
ホーネックさんのときはブラヴォーに混じってブーイングがちょっとあったり。
ヌッツォの時はやっぱり歓声が凄かったです。黄色い声も。
でもヌッツォ以上に歓声があったのはサントゥッツァの林さん。
今回の公演は音楽関係者やメディアの方もたくさん見に来ていたみたいで、
そんな公演でヌッツォのあの絶好調な歌声が響いてとても嬉しくなりました。



最後に、オペラの内容にはあまり考えないようにしているんですが、
あのあと残された人はどうなったのかとふと思いました。

ローラとアルフィオは元鞘にもどったのか?

特に考えたのは、
サントゥッツァと母さんは毎日トゥリッドウのお墓の前で泣いているんじゃないかと。

しばらく考えて、

きっとトゥリッドゥは“千の風”になってあの大きな空を吹き渡っているに違いないという考えで落ち着きました。



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